No.420◆今時、なぜ、家族に頼るのですか?

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

2000年、日本政府は高齢者の老後生活に関して、“脱家族”を発表、施行しました。「介護保険」と「成年後見法」です。法的バックアップは「成年後見法」で身上監護と財産管理。そして日常生活の現場業務は「介護保険」で「社会福祉法人 社会福祉協議会」に、です。

 

この2法の審議中、単身けんは審議の傍聴や経過説明を求めて、関係委員や国会議員、厚生労働省へ面会に出掛けていました。そしてその都度賛同する項目と同時に懸念も伝えてきました。報道関係にも。

 

その行動の理由ははっきりしています。旧民法や慣習の「家族相互扶助」に見える息苦しさと限界です。戦後政策の「核家族化」の浸透で、家族・親族・地縁の“絆”・“柵”の希薄化と、飛躍的に伸びる老親の生命と、家族の生活圏の広域化、等が顕著になってきていました。広域で活動したい次世代には、布いては日本の躍進の時期でもありました。

 

そんな時期のこの2法は画期的でした。しかし、22年を経た今、改正点も出てきています。この2法、それに対する利用対価は個人負担です。例えば「介護保険」料と利用料は個人負担です(軽減条項はありますが)。問題は貧困高齢者の顕在化と、長寿化です。

 

高齢化に伴って「成年後見法」を利用して認知機能が低下した生活をするために「成年後見制度」を利用するには、認知機能診断費と家庭裁判所への提訴費用、弁護士等、認定された成年後見人への以後の報酬が当該個人に発生します(解約不能です)。つまり誰もが利用できる法律ではなかったのです。マスコミなど報道機関では、ユニバーサルサービスのように伝えていますが、上記のように条件があります。

 

でも、がっかりはしないでください。その間に日々&年毎に関連団体や市民団体が提案・提言をして、使い勝手がよくなっています。どうか自治体の広報をお読みください。「地域権利擁護事業」は2007年、事業名称が「日常生活自立支援事業」に変更され、成年後見制度を補完できる事業として、注目されています。

 

時代の進化速度は速くなっています。政府発表があっても各自治体の実施期は異なります。期待を込めて「自治体の広報紙」「自治体のホームページ」を定期的にチェックして欲しいと思っています。自分の今はどうなっているのかと!

 

※会員の方は、『単身けんニュース』187号も併せてご覧ください。