No. 394◆まずは「受援力」を身に付けませんか

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

先週のことですが、K子さんからお葉書が届きました。自宅で複数個所を骨折してどうしていいか分からないという内容。読んだ私もどうしていいか分からないので考え込んでしまいましたが、名簿にあった番号にとりあえず電話をかけました。すぐにつながりました。聞くところによれば、身体の右側を負傷して、利き手が右なので「もうどうしようもなくて、辛くって…」」と、一気に事情を教えてくださいました。

 

でもお葉書にびっしりと書き込んでくださっているので、状態はかなり落ち着いていらっしゃることと思い、私も少し心を落ち着かせ、そしてゆっくりと経過話をお聞きしました。結果としては、介護支援センターからヘルパーさんの派遣も受けていて、今ではバスでリハビリに通えるほどになっているとか。日常が回っているようなのでホッとしました。

 

彼女は1人暮らしで、お近くの同年代のお友達は家族とご一緒の人がほとんどと聞いていて、話が時々合わなくて…とお悩みでした。事故当時、一瞬どこに助けを求めようかと迷われたこととお察ししていましたが、まずは何とかなっているようでした。

 

2020年の国勢調査では、単身世帯は38.0%でした。単身けんのその比率はかなり高いと推測しています。そして家族がいらしても予備軍を覚悟している人も多いと思っています。なので、私は機会があると「支援力も大事だけれど、まずは自身が“受援力”を付けることを考えた方が良いのでは?」と言っています。理由は、“支援力”を求めている人のお役に立ちたいと思うときに、自分が力不足だったら近くの人や一緒に動いてくれそうな人に声を掛けます。しかし、自分が“支援”を必要としているときは、なかなか声を上げられないものですし、焦ったりパニックになったりしがちです。K子さんの場合、“受援力”が付いていたのでしょう。公的支援システムに連絡することで災難から脱出できたようでした。

 

私は単身けんの事務局にいるおかげで、会員の方の経験談や資料検索をする内に“受援力”がかなり付きました。それは友人知人、身内の受難時の“支援相談”に役立っています。こんな言い方は逆説的かもしれませんが、“支援側”からのヒントより、支援を受ける方側の経験談の方が現場には役立つことが多かったのです。なので私は「まずは“受援力”を」と言いたいのです。そうすれば“支援力”も付いてくると思うのです。

 

コロナ禍では体調異変や生活の不便を体験した方、支援側に回った人も多かったのではないでしょうか。体験談を教えてください。それは貴重な事例なのです。お待ちしています。