No. 376◆「自律」と「自立」

 

旅行も会食も、そのお誘いもない中ではテレビのニュースだけが話題の源。コロナ関連の話題に飽きた私の周りで昨今の注目は“大谷翔平“・“藤井聡太”の活躍ぶり! 20日朝の公園の話題は大谷翔平のMVP獲得。「昨日の朝は8時過ぎからBS1を点けっぱなしにして速報を待つてたのよォ」「私も!」「普段、民放は見ないのに、リモコン片手にあっちこっちポチポチと渡り歩いてたわよ」と賑やかな事。「藤井聡太くんは昨夕勝って“王将”挑戦権を確定したわね、5冠とるかしらー」「そうなの!すごい!」。そのはしゃぎ様は“身内”の息子か孫の偉業を誇る様! 

 

大記録に興奮しているのは間違いないのですが、続いての発言は彼らの日常の行動の激賞でした。お2人とも「誰彼に勝つ」という目標でなく「今日の自分を超える」という姿勢を語られていたことに感銘を受けたと我先に口々に発していらっしゃいました。同感です。

 

私の周りのシニアは幼いころから“相対的評価”の中で育てられてきました。このお2人のように“絶対的評価”で自分を見るという教育には触れてきていませんでした。誰々さんより上か下か。要するに「横並び」になっていることが大事で、「凸凹のない成長」、「落ちこぼれでない」を望まれて育ちました。その結果、「個性的な人」と言われることを避けてきた層にとっては、今活躍している方たちは眩しすぎるのでしょうか。「多様性の尊重」などと言われている現在の社会において自分の立ち位置に戸惑っています。

 

単身けんの事務局に居て受ける電話で感じるのが、「自分は社会の標準から離れているから、不都合や不利益、不満があるのではないか」というネガティブな視点から生じる思いの会話から始める人が多いことです。この会で30年余ご一緒している私ですが、私の1人暮らし歴はまだ3年目です。その私が言います。その悩みは単身者だけのことではありません。それぞれ多様な悩みを抱えています。不都合や不利益、不満も同じであったり、原因が違っても同じく抱えていたりしています。

 

“大谷翔平“・“藤井聡太”という「自律」の達人を教訓として、他者との比較ではなく、自分が主人公の「自立」を構築していきたいと思う昨日今日です。長い人生、時には「横並び」も一つの方法、「凸凹のある得意技」を発揮するのも素晴らしいこと。私の特技は「食品ロス」を出さない食生活。今日は来客予定があるので、自慢の「丸ごと活用メニュー」で盛り上げることにしましょうか。