非常時! 緊急時! 自分だけ逃げられるか?

 前回[私の受けた教育は、「天災時は自分一人を守る」です。事態が落ち着くまでは近隣の心配もしないでしょう。人助けできるほどの体力はもうありませんから・・・]と書いたら、「でもねえ、置いて逃げたら必ずこの人は死んでしまう、と判っていて自分だけ逃げられるかなぁ。あなたできるの?」と聞かれました。


 できないかもしれないと思います。置いていくことになる人が「せめてあなただけでも生き延びて!」と背中を押してくれたら・・・


 このような教育をしてくれた私の成育歴には、戦後すぐということが大きく影響

していると思います。いつ・どこで・どんな災難に遭うか分からなかった戦争が終

わる直前に私は生まれました。だからでしょうか、自分で生きていくということを

幼い時から叩き込まれました。決断もさせてくれました。


 使わないで済んだら一番いいのだけど「芸は身を助く」というから、といって6歳

から茶道・華道・筝曲、少ししてそろばん、小学高学年になると数学、英語塾に通

わせてくれました。実際戦後の混乱の中、夫・息子が戦死して、日舞を教えて生計

を立てた大伯母、夫が戦死して娘との生活のために洋裁を収入源にしていた叔母、

など身内にいます。

 

 私の教育係は同居する祖母でした。「天災時は自分一人を守る」と言った明治生

まれの祖母は「みんな死んだらどうするの? 誰か一人でも生き残らないと」とも言

っていました。平和なときには理解できなくても、この言葉は大切な気がします。

 助ける立場でなく、助けられる側になった今、覚悟をしている次第です。


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