家族の絆に泣かされて Ⅱ

 「こんな相談していいのか・・・。私たち夫婦は来年定年を迎える

のですが、義母への仕送りをどうしようかと・・・」というのです。

 結婚するとき仕事の都合もあって夫の母(義父はすでに死去、義母

は遺族年金)とは「同居しない」ということで、夫名義の家は義母が

住み、月10万円の生活費を送金することという約束でこれまで別居で

来たそうです。

 しかし、年金生活に入ったら、とてもそんなには送金できない。

同居するにしても建て替えなくてはならないと思うし・・・、同居し

たって義母が自身の遺族年金から自分の生活費を出してくれるとは思

えないし・・・、と言います。さらに義母様の遺族年金は、この夫妻

の年金額よりも多いと言います。後期高齢者層の年金額は確かに前期

高齢者層のそれよりは多いです。だから年金生活者間で比較すると、

高齢者ほど年収は多いことが予想できます。

 

 同じ年金生活者になったのだから、もう仕送りはできないと言った

ら? と私が言うと「聞き入れてくれるとは思えない・・・」と言い

ます。多分結婚を許可するとき、息子を取られたような心境だったか

らなのではないでしょうか。この方の夫君には、弟と妹がいるそうで

す。2人ともとても義母様の生活費を分担する気も、経済力もないと

言います。

この心優しい夫を持つ彼女は、どのように決断をするのでしょうか。

 

 「家族なのだから・・・」の思いよりも、この一言を出されること

の辛さ! 他人は心優しい長男夫婦と見ているかもしれないけれど、

力関係で縛られている親子の現実は厳しいようです。扶養する関係は

民法でも規定されています。しかし、実力以上に求められると・・・

 犠牲を払ってまで尽くすことは無い、と思うのですがどうでしょう

か。義母様も突き放されることによって、また違うものが見えてくる

のではないでしょうか。

 私はまずご自身の将来設計をして、そして、夫君や義母様の将来設

計をお訊きになれば、と言ったのですが・・・

 

 

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