独居高齢者を問題視するのは問題では?

 高齢社会になって報道で目に付くのは、高齢者に対する気配り、

目配り、支援策。特に独居高齢者や高齢者のみの生活を皆で支えよ

うとしているのは、豊かな国だからこそできるのだと思うと嬉しい

限りです。

 ほとんどの国民が、自分の家族が食べていくだけでやっとという

くらい貧しかった頃の高齢者は、どのような暮らしをしていたのか

しら、と思って年長の方に話しかけたら、次のような答えが返って

きました。

「今の女性高齢者は、結婚経験があれば夫の遺族年金とか相続資産

とかあって、1人暮らしができる経済力があるけど、戦後すぐの頃

だと、息子が独身で戦死していて恩給なんかがもらえている人以外

は、縁を頼って親戚の家で居候するしかなかったのじゃない?

今みたいに風邪ひいたからって医者に掛かる人も少なかったでしょ

うから、早死にだったのよね。まあ巣鴨の商店街で連れ立って買い

物や食事を楽しむなんてことはなかったと思うわよ」と。

 

 1人暮らしの高齢者はいなかったか、ほとんど目につかなかった、

ということなのでしょうか。人目につかない生き方ができたという

ことなのでしょうか。今は人目につかない生き方をしようと思えば、

ホームレスになって住所不定になるしかない?

何しろ住民税など税金や皆健康保険、皆介護保険、皆年金という国

だから、所在が分かっていれば収入の額や健康状態、後見人の有無

まで調べられて、基準に達していないと、そのことをお届けしない

といけない仕組みになっているから・・・

 

 今月始めに、新宿区で築50年の木造アパートで火事があった報道

では、「大半が高齢の生活保護受給者で独居だった」と問題視して

いました。死者の身元確認がそのため遅れているとも。(生活保護受

給者だったら、区が身元の確認ができるのでは?)。また区の担当者

の弁として「火災に限らず、体の不自由な高齢者の独り暮らしは、

通報や避難が遅れるなど日常のリスクが高いと指摘」と書かれてい

ました。この言葉を裏返して考えると・・・

 

 火災に限らず、緊急事態の時は助けようが無いと知ることではな

いのでしょうか。私は、緊急事態の時には騒ぐこと、と心得ています。

助けてあげられるとは思えないので、二次被害を出さないためにです。

これは幼いときに実家で受けた教育です。

 

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