No.549◆「アルモンデ料理」と「ワカラン料理」

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

私の台所生活は58年。得意料理は「アルモンデ料理」と「ワカラン料理」です。「アルモンデ料理」とは“在る物”で造る料理のこと。「ワカラン料理」とは私が名付けた“和・華・蘭料理”のことで、長崎出身の人には𠮟られそうですが、長崎発祥の卓袱料理(しっぽくりょうり)の別名をお借りして使わせていただいているモノです。つまり、和食風系、中華風系、西洋風(蘭=オランダ)系など。格好つけて言うとフュージョン料理(無国籍料理)の盛り合わせのこと、なのです。

 

母が丈夫だったので、実家ではほとんど料理をしたことが無く、手伝いと言っても小学生並みのゴマ擦りや溶き卵作りくらいかしら。でも料理教室にはいくつか通って、グループの人の使用済みの食器類やお箸の洗い方をしながら見習っていましたが。

 

結婚してからは私の独り舞台。孤軍奮闘、母の手際を思い出しながら、冷蔵庫内にあるもので、習ったメニューを思い出し、彩りと栄養バランスさえ良ければ、と二度と同じ料理は作れないというくらいの思い切りの良さでアイデア頼りに猛進しました。この修羅場が功を成し、その20年後、メニュー開発の仕事にも就くことになりました。いくつかの食品会社や報道・出版会社からもお声掛けいただき、主婦業が経歴になったのです。本人もびっくり。本業と思っていたマーケティング分野の仕事もよく見渡してみれば、“主婦”と言う二刀流だったから採用されていたのだなぁ、ということに気が付きました。

 

我が家は訪問客が結構あって、即興で食事を出す機会が多く、私を鍛えてくれた“我が家の食卓”に訪れてくださった方々に今は感謝しています。つまり、「アルモンデ料理」や「ワカラン料理」は、日常から生まれたもの。これが、今でも私の家計を支えてくれています。私のメニュー発想は、「今日何が食べたいか」ではなく、「何が作れるか」から始まるので、“食材ロス”が生じ難い。それの出来によっては“達成感がある”、のではと。

 

昨今、コンビニだけではなく、スーパーや商店街のお総菜屋さんでも一人世帯の購入に対応しています。しかし、個別包装ですから便利だけれども割高です。家計の食費の割合が…と思ったら、「アルモンデ料理」と「ワカラン料理」に挑戦してみませんか。一人暮らしになってからは、と言うか、リタイア後の有り余る時間の中で、「脳トレ」と「認知症対策」、国連の「SDGs(持続可能)」にもなっているのではと思っています(?)。単身世帯の悩みの一つは“料理”と“炊事”だという方が多いと報道されています。「人生百年時代」の今、年齢に拘らず、料理と言う“ホビー”に挑戦してみるのも一考ではないでしょうか。