No.536◆私は「孤独」なのかしら?

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

あなたは「孤独」を感じることがありますか? 私は無いのです。一人暮らしになって6年にもなりますがまだ…。私はヘンなのかしら?と思ったりする時があります。

 

近頃不思議に思うことが度々あります。若い人たちの突飛な行動・犯罪のニュースが流れると、解説の中に「孤立」「孤独」という言葉が出て来るのです。それも家族と同居しているにも関わらず、です。例えば、深夜に新宿や渋谷でたむろしている十代の人たちが、「なぜ家へ戻らないの?」という問いかけに、「帰っても面白くないから」とか「することが無いから」とか答えているのです。中高生なのに"家に居てもすることが無い"? それは"することがある"のに"したくない作業なのか”あるいは"すでに終わらせてくれている誰かが存在しているのか"。または"居る場所が無いほど疎外されているのか"と思ってみました。

 

私も子育て経験者ですが、夕刻に帰宅すると、子どもたちが今、何を欲しているのかなど思いやる間もなく、機関銃のように次から次へと指示を出し、追い立てていた日々しか記憶にないのです。何に追い立てていたかというと"報・連・相(ホウレンソウ)"、つまり"報告・連絡・相談"です。次は家事手伝いです。"おもちゃなどの片づけ"、頼んでおいた"買い物""洗濯物の取り込み・片付け"。次は"夕食のセッティング"と"調理の手伝い"等々。幼稚園に入ると"マイペティーナイフ"をプレゼントしたり、鰹節削りの担当に任命したり、お風呂準備係にしたりと。結果的に"居場所"作りになっていたのでしょうか。私の帰宅時間には、家に居ましたから。

 

私の実父母・義父母が孤独だったのかどうか、分かりません。同居はしていませんでしたから。しかし、電話のやり取りはかなりしていたように思います。実母は18ヶ月ほど入院生活でしたが、携帯電話などない時代でしたから、自室に専用電話を引き、あちらこちらへ電話をしていたようです。それほど気がかりな身内や知人がいたということでしょう。

 

今の私はほとんど机の前に居て、パソコンかテレビを見ている毎日なのです。早朝ウォーキングとラジオ体操会に参加するのを日課に天候の許す限り毎日都立公園に行き、おしゃべりするのと、2、3日に一度、近くのスーパーに買い出しに行く以外は"ひきこもり状態"です。でも「孤立」「孤独」を感じたことはありません。それは私が電話やLINE、mailであちらこちらへ"おじゃま虫"をしているからでしょうね。(受けて下さってありがとう、です。)

 

内閣府は4月25日、2024年の孤独・孤立に関する実態調査の結果を公表しました。孤独感が「しばしば・常にある」「時々ある」「たまにある」と回答した人は計39.3%で前年と同水準だったとのこと。この記事記事に対する精神科医・産業医の井上智介さんのコメントを紹介しておきます(「Yahoo!ニュース」5月14日付け「孤独感『ある』39% 24年、内閣府調査」のコメント)。

 

「家族がいて…友達がいて…一緒に働く人がいても、孤独感に苦しむ人もいます。孤独感は人が傍にいるかどうかより、自分の存在や気持ちを誰とも共有できない感覚です。

 孤独感は人が傍にいるかどうかより、自分の存在や気持ちを誰とも共有できない感覚です。ときに、その感情が大きくなると『自分は生きてる意味があるのか…?』という自問自答にも発展します。 

 孤独を癒すために、スマホに触れるのは悪いことではありません。繋がりたい純粋な欲求を満たします。ただ、扱い方には注意。期待しないこと、比較しないことを大切に。『期待したつながりが得られない失望感』や『他人との比較が生む焦燥感』がより孤独を深くする可能性があるからです。 

 もし今、孤独感に苦しむなら、ぜひ今日はコンビニやスーパー等で、店員さんの目を見て『ありがとうございます』と一言だけ伝えてみて下さい。相手からの反応に、そこにはあなたが存在する世界があることを心から実感できますよ。」