◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
前号(489)で、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(案)が公開され、パブリックコメントの募集もすでに終了したことを取り上げました。これは「身寄りがない高齢者」が増えたからと言われていますが、それだけではないでしょう。
「身寄り」とは「血縁のある人、みうち、親族、縁者」のことだそうですが、農業漁業林業や、家内工業・家内商業が大勢を占めていた戦後すぐの昭和期の環境と、雇用労働者が多数を占める今を調べれば、独居高齢者が増えているのは当然のこと。しかも「人生百年時代」と言われる現在、既婚未婚にかかわらずいずれは"独居高齢者"になっても不思議ではないですね。かく言う私もその一人ですが「身寄り」はいます。
私は「身寄り」といえる人はかなりいるつもりでいます。だからと言って、「年賀状のやり取りが続いている」というだけで、同一地域に住んでいない「身寄り」にサポートを頼む勇気はありません。働き盛りの「身寄り」は毎日の持ち時間を精一杯使っているからと察しています。また、健康に配慮しながら高齢期を送っている「身寄り」にお願いするのは、体力的にも経済的にも掛かる負担を考えると連絡などできません。私は所属する自治体の支援システムか、民間サービス業者に頼むことでしょう。
内閣府が公開した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(案)によりますと、以下のようなサポート事業者を想定しているそうです。
○病院への入院や介護施設等への入所の際の手続支援、日用品の買物などの日常生活の支援、葬儀や死後の財産処分などの死後事務等 について、家族・親族に代わって支援する、「高齢者等終身サポート事業」を行う事業者が増加してきている。
○この事業は、死後のサービスを含み、契約期間が長期であること等の特徴があることから、利用者保護の必要性が高く、事業者の適正な事業運営を確保し、事業の健全な発展を推進するとともに、利用者の利用の安心等を確保していくことが必要。今後、事業のニー ズの増加が見込まれる中、業務の内容が民事法や社会保障関係法に広くまたがることから、遵守すべき法律上の規定や、留意すべき事 項等を関係省庁横断で整理し、ガイドラインとして提示する。
上記のような支援事業が成り立つためには、需要(生活支援を必要とする人)と供給(提供する事業者のマンパワーと経営が成立する料金設定等)のバランスが重要課題となることでしょう。ユニバーサルサービスとして津々浦々まで行き届くのでしょうか。
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