No.454◆「106万円の壁」と「国民の義務」―8月定例会報告

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

単身けんの8月定例会は26日、次のテーマでフリートークをしました。

 

テーマ:「『第3号被保険者』『配偶者控除』は昭和の遺産では」

内容:会報191号は、少子化と高齢者・単身者増に対応するために政府が採ろうとしている政策のレポートです。「第3号被保険者」「配偶者控除」を無くして、子どもの貧困対策に、と思いませんか。会として発信してはと思うのですが…。

 

会報191号で提示したのは「政府は昨年度の各白書の決定時の閣議で、現在の年金制度や税制は昭和時代のもの、“もはや昭和ではない”と言った筈なのに、なぜ「第3号被保険者」の年金改革、「配偶者控除」の税金改革をしないのか!?です。

 

共働き家庭が7割を超えているとの報道がありますが、その中には“扶養家族範囲”での就業者も含んでいます。ですから、共働き家庭が増えたから“専業主婦家庭”の昭和的優遇策が、婚姻内家庭枠の中での整合性が取れていないと言っているわけではありません。「扶養家族」を続けることで掛け金なしで老後に年金が受け取れ、自分より年収が多い配偶者の納税額が割安になり、健康保険料も納付せずに自身は医療が受けられる、という利点を守るために労働時間調整をする、他者のことが念頭にないのが理解できないのです。

 

「第1号被保険者(農業・自営業者・学生等)」の配偶者には、この「第3号被保険者」制度は適用外ですから「年収の壁」はありません。婚姻関係にあっても配偶者の職種によって労働条件や税制が異なっているのはいかがなものでしょうか。また、事実婚の家庭やパートナーシップ証明の家庭もあります。単身世帯は2025年には「6人に1人強に」と予測されています。今ある「壁」を多少移動するくらいでこの不公平は解消されないでしょう。

 

政府は10月には「第3号被保険者」の年金改革、「配偶者控除」の税金改革をしないで、どこからか「年収の壁」に50万円を上乗せする予算を捻出してくる策で、労働時間調整をする人たちの「壁」を乗り越えようとしているようです。なぜ「第3号被保険者」の年金改革ができないのでしょうか。これでは「女性活躍推進」を旗印にしていることと矛盾しませんか。定例会では、会として他の団体にも働きかけてはということになりました。この「年収の壁」を守りたい人たちに訊きたいです。税金は「国民の義務」って習った?

 

国税庁のHPには次のように出ていました。

 

日本国憲法第30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」「税金は、国を維持し、発展させていくために欠かせないものです。そこで憲法では税金を納めること(納税)は国民の義務と定めています。この『納税の義務』は『勤労の義務』『教育の義務』とならんで、国民の三大義務の一つとされています。納税者である私たちは、正しく税金を納めることが大切ですが、税金の使いみちに十分関心を持つことも大切です」と。