No.433◆「人生百年時代」の終の棲家はいつ決める?

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

2月下旬、「失敗しない終の棲家の決め方」をテーマに、関係する分野の方たちとの話し合いに参加しました。まず出たのは、1人暮らしの人は老人ホームへの入居を考えるのではないかという話でした。かつてはそうだったかもしれないけれど、今はどうでしょう、と私。

 

都市部では団塊の世代が後期高齢者になり始め、高齢者の激増期です。「人生百年時代」と言われる今、その後期高齢期が25年も続くことを考えると、「終の棲家」のことよりも生活資金の方が気になるのではないでしょうか。早々と有料老人ホームに移ると○○万円×12月×25年=? 「今の住まいで暮らせるなら助かる…」というのが本音ではないでしょうか。単身けんで2018年にしたアンケート調査では、「リフォームしながらずっとここで」という方が一番多かったです。かく言う私も身体の状況によっては対応するリフォームをしつつ、と考えていましたが、介護保険が年々充実し、その時の状態に合わせて専門家が改造してくださるのが分かってほっとしています。

 

一例を挙げますと、足元が危なっかしくなったら廊下やトイレ、浴室などには手すりや掴まる棒などを身体に合わせて取り付けてくださいます。車いすも外出用、室内用、トイレ用と、カタログを見ただけでも安心できるほど多様な提案がなされています。実際夫のガン末期を自宅療養に切り替えたとき、打ち合わせの翌日にもう設置してくださいました。そして亡くなった翌日には撤収してくださり、弔問の方たちにもお座りいただくスペースを空けてくださいました。

 

介護保険適用には限度額がありますが、自己負担のできる範囲で身体の状態に合わせてケアマネージャーや介護用品業者の助言や、相談をしながらの設置、ありがたかったです。また感心したのは設置した物を外した後に傷も付いていなかったこと。賃貸のお部屋でも安心して依頼できます。レンタルなので後始末が楽なうえ、安価で利用させていただきました。

 

日常生活に不便が生じた時、介護・介助機器や装置を使いながら、ヘルパーや訪問診療医・看護師さんのご指導を受ければ、素人の家族をケアラーとして呼び寄せなくても暮らせる時代になったのでは、と思っています。

 

サービスや施設の良さをアピールした民間収容施設が増えていますが、これらは商業的施設です。提供内容も一律ではなくランクの差もあります。対応・待遇・費用も施設側の損益から出る設定。心地よい住生活環境は使用料と密接に連携しています。よって、低料金で、希望通りの待遇は無理なのではないかと。まずは自身の経済力から検索・選択することになるのではないでしょうか。