No. 371◆「もったいない」と「食品ロス0」の昨今

  

昔人間の関西人の家庭に育った私は「始末しいや(浪費しないでつつましい暮らし)」と言われて育ちました。前370号で書いたとおり、普段(ケの日)は賄いおかず、来客や記念日・お祭り(ハレの日)はご馳走が並びました。衣生活も同じで、晴れ着は奮発して整えてくれましたが普段着は“小奇麗“であれば良い、という方針でした(戦後という時代でもありましたが)。これは古くからある「もったいない」と同義語でしょう。

  

この「もったいない」は今や世界共通語になっています。2004年、環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさん(ケニア)が「ものを大切にする精神」を象徴する言葉として「もったいない」という日本語に深く共鳴、「この言葉を国際語にしたい」と、環境を保護するための合い言葉「MOTTAINAI」として提唱し、世界に向けて「もったいない」を広げました。今世界的な目標として「SDGs(持続可能な開発目標)」が掲げられていますが、これも同じ流れではないでしょうか。

  

そのような社会情勢の中、私の中に一つの忘れられない一コマがあります。25年ほど前だと思います。当時の知人に母子寮の施設長さんがいらっしゃいました。その頃私は食品流通会社の代表をしていた関係で、食肉加工会社との付き合いもありました。「正味期限2ヵ月前という商品は卸先店舗から引き揚げるのだけど、残念だし、もったいないと思うから現物寄付ができないか」という話があり、母子寮の施設長さんに繋ぎ、受けていただきました。ところが「売れ残りを恵んでもらうなんて」という利用者さんからの猛反発で返品されました。寮長は食費が増えて…と喜んでいらしたのですが…。

  

今「子ども食堂」に代表されるような子供や子育て層に開放し、多世代が交流しながら食事をとったりするなどの場として、地域に多彩な食事の場が行政主導やボランティア活動として多くの町に誕生しています。その活動には「食品ロス」「フードバンク」活動も寄与しています。「フードバンク」とは、企業や家庭においてまだ賞味期限はあるけれど、様々な理由により捨ててしまう食べ物を寄付してもらい、その食品を困窮者や地域活動の資源として無償で提供する活動です。20数年前の私たちの行動はちょっと勇み足だったのでしょうね。