「老後資金2000万円」騒動は誰が起こしたのか?

 今週突然にテレビや新聞に登場した「老後資金2000万円」騒動を見ていて、内容よりも驚いたのが、騒ぎ出した人たちが野党議員であること。この方たちって労働組合団体の支援・支持を受けている方たちだから、今の高齢者の妻たちが自分の年金で暮らせないことくらい知っていたはずでしょ? だってこのモデルは夫65歳以上、妻60歳以上の無職の世帯の場合なのですから。当時、専業主婦を推奨していて、春闘のスローガンにもなっていましたよね。

 

 核家族というスタイルが定着しだした頃の労働運動のスローガンは “妻が

内職をしなくてよい賃金を!” だった記憶があります。夫の給料で妻と子供

二人が暮らせる賃金を! と叫んでいたのですから。結婚退職すると、会社

からも労働組合からも、「自己都合」で止めた人よりも割増の退職・退会金

をいただけた覚えがあります。

 農林漁業・商業等自営業者よりも、雇用労働者世帯が多くなってきて、性

別役割分業が進み、女性は養われる立場が幸せと言われる社会が出来上がっ

てきました。そして無業の無収入の女性が普通というスタイルが今でも多く

残っています。その結果、生活が立ち行かない経済状態のシングルマザーや

女性高齢者が社会問題化しているのでしょ。

 

 テレビからは、「聞いていないよォ!」とダチョウ倶楽部が怒っているし、

「びっくりした」「100年安心詐欺だ」「選挙の争点にする」とキレている

立憲民主党の辻元清美さんなど、本当に知らなかったのですか? 

老後資産の算出方法などは今まで年中と言っていいほどマスコミから流れて

いました。「ねんきん定期便」も送られてくるようになっています。

本当に知らなかったのですか? 

 

 なぜ2000万円なのか。金融庁の試算ではモデル世帯の場合、収入は年金

の約20万円に対し、平均的な支出は約26万円。これは年金だけで暮らして

いくと毎月約5万5000円不足することになるから、人生百年時代には、年金

の他に2000万円必要です、とのこと。

 しかし共働きだった夫婦の中には、月40万円ほどの年金が入る世帯もいま

す。単身けんには、男性よりも低賃金だった時代を生きて、年金額も少ない

ながらも自力で生活できる人はたくさんいらっしゃいます。

 私が生まれた時の平均寿命は47歳でした。結婚を機に無職になった時期の

それは約73歳でした。そして老後資金のめどがついたと思ったときのそれは

83歳になっていました。しかしお金の価値は何分の一かに下がっていました。

もしも100歳まで生かしていただけるなら、また何か工夫が要ります。

 寿命も景気動向も私には予測が付きません。この騒動を政争の具にしないで、

生きていくための資料を提供していただきたいのです。

 

 

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