「独居死」か? 「ひとり死」か?

 1月30日、NHK「金曜eye “ひとり死”への備え」を視ました。これまで“孤独死”、“孤立死”と、1人暮しの人たちの在宅死を、人生の最後の死に方としては不幸の極みのように特集し、あってはならないことのように、センセーショナルに取り上げてきたNHKが、「独居死」を「ひとり死」と命名して番組を放映しました。私にとっては「宗旨替え?」と思えるようなネーミングでした。なぜなら単身けんは“孤独死”、“孤立死”という流行語に悩まされてきたからです。

 

 “孤独死”、“孤立死”と聴いて、「やだやだ、それだけはいやだ! どうしたら

そうならないで済むの?」という問いを事務局の私はどれだけ聞いてきたこと

でしょう。その度に「ピンピンコロリ(PPK)と言っても、独居中に死んだら、不審

死扱いよ! 最後まで元気でよく頑張ったね、とは言ってくれないのよォ。病院

で死なない限り、司法解剖の対象よ。献体を申し込んでいても、その前に解剖

されるかもね」と応えていました。

 死後すぐに見つけてもらえないと、不審死扱いどころか、腐乱死体だの、人付

き合いが良かったの・悪かったのと、周囲に聞き込みされて散々な目に合うかも・・・、

などとため息をついて「・・・・・」となっていました。

 

 「ひとり死」では、病院に居てもひとり死はあります、と言い、在宅でも見守りシ

ステムがしっかりしていれば、皆に看取られて穏やかな死が迎えられます、と

言っていました。実際そうでしょう。しかし人手と費用は大丈夫なのでしょうか、

との問いに、お金がなければそれなりに何とかなります、との答。


 大都市の住宅街に住む私には理解できませんでした。高額な施設に入って、

雇用待遇のよいヘルパーさんや職員団に囲まれていれば安心かなー、との感

はあります。が、不足気味の年金と底の見える預貯金の取り崩しで賄って生き

延びようとしている身では、在宅でボタンを押すとテレビ電話で繋がっている医

者や看護師が飛んできてくれ、ヘルパーさんが毎日体を清拭したり食事の世話

をしてくれたりと、その他寝たきりに伴う諸処理をこなしてくれるのは大変ありが

たいことなのですが、介護保険以外の自己負担はいくらくらいになるのかと不安

が先に立ちます。


 「ひとり死」は安心な最期で、「孤独死」は避けなければならない死という位置づ

けでこの番組を作ったのでしょうか。在宅看護推進政策に沿った番組とは思いま

すが・・・


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