「国民総幸福量」を提言できる国に

Image from foxnews
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 今、“幸福の国”の国王夫妻が来日中です。しかも新婚旅行先に日本を選んで、とのこと。そのお気持ちだけで私の心が温かくなった気がしました。そして連日テレビで報道される国王のスピーチを聴くにつけ、僧侶の法話を聞いているようで、私の考えが柔らかくなって行くように思えてきました。まだ31歳という若さなのに、なんとカリスマ性の備わったリーダーなのでしょう。

 

 なぜ“幸福の国”なのかといえば、国民の97%近くが「幸せ」と回答

するという国だからです。国力をGDPやGNPという物質的/経済的

指標で表さず、GNH(国民総幸福量)で表すことを提唱したのが、

前国王だそうですが、 “幸福の国・ブータン王国”とはどんな国なのか、

インターネットで検索してみました。

 

 中国とインドに挟まれた九州ほどの面積で、約70万人の国民がいると

言います。歴史欄を読むと、何百年も国際紛争にさらされ続けていたよ

うです。けっして物質的、経済的に豊かとはいえないとも書いてありま

した。ヒマラヤ山脈を仰ぐこの国は気象条件も厳しいようです。

観光でブータンを訪れたことがある知人は「いいとこですよ。いらっし

ゃれば!」と言いました。

野次馬で旅行好きな私は、すばらしい景色を想像して「行ってみよう

かな?」。しかし、住みたいと思うだろうかと考えて「それは無理ムリ!」

と思いました。なぜなら自由を享受しすぎましたから。

 何の制約もなく好きなときに好きなことができて、着たい服を着て、

言いたい放題のことを言い、たぶん86歳くらいまで生きて、自己責任の

範囲で自由が保証されている生活。そんな私が民族服を強制されたら、

寒いからと買い物に出るのがいやで電話やネットで調達できない日常だ

ったら、行きたい地に行けなかったら、等々考えると・・・

 

 しかし自由が一番の宝なのでしょうか。一人ひとりが自立的に生きて

いればそれが幸せなのでしょうか。私の今日を不幸とは思いませんが、

しかし・・・。

 母が生きていたら「今は皆幸せよ。私たちの頃は言いたいことも言えず、

食べたいものも食べられず、行きたいとこも行けるような状況じゃなかっ

たもの。戦争が無いだけでもほんと、しあわせよー」と言うでしょう。

 

 同国王は宮中晩餐会で「ブータン国民は、日本に対して比類ない愛情と

好意を抱いている」と述べられたそうです。今まで25カ国以上訪ねた私で

すが、そう言える国が浮かびません。そう言えない私は不幸なのかもしれ

ません。愛を発信する習慣が無いからなのでしょうか。博愛はあるつもり

なのですが・・・

 

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